集中購買とは?購買プロセスを最適化しコスト削減のための具体的ステップ

 クラウドERP導入ガイド編集部

購買業務は、企業にとって欠かせない業務のひとつであるため、自社にとって最適かつ効率的な方法を選ぶ必要があります。この記事では、代表的な購買形態である「集中購買」に着目し、分散購買との違いや集中購買のメリット・デメリットについて解説します。さらに集中購買の購買プロセスを最適化する方法について紹介します。

集中購買とは?

集中購買とは、社内の発注業務を1か所に集中させる購買システムのひとつです。一方、社内の各部署・事業所がそれぞれ独自に購買活動することを「分散購買」と言います。

集中購買の概要

集中購買は、社内の一つの窓口がすべての部署や事業所の購買業務を担当することから「中央購買」とも呼ばれます。集中購買では、全社的にまとめて購入することで量を増やし、取引先との価格交渉がしやすくなるため、コストを削減しやすいという特徴があります。

さらに集中購買は、発注業務をひとつの部署が一括して行うので、業務効率化につながります。複雑な手続きが必要な輸入商品や、品質管理が欠かせない商品を発注したい場合も、集中購買であれば、専門知識をもつ人材を購買部署にだけ配置すればよいので、効率的で戦略的な調達も可能です。

分散購買との違い

分散購買では、各部署・事業所の担当者がそれぞれのタイミングで購買活動を行います。その際、購買先となるサプライヤーは拠点ごとに異なり、購入する商品も各部署・事業所で自由に選択が可能です。また、それぞれの部署や事業所ごとに購買活動を行うため、在庫状況を正確に把握しやすく、集中購買よりも運搬コストがかかりません。

ただし、分散購買は1回あたりの発注量が少ないので購入単価が高めだったり、社内統制を効かせにくかったりといったデメリットがあります。このような特徴から分散購買は、特注商品や低価格商品を多く取り扱う企業に向いています。

集中購買を行う4つのメリット

集中購買を実施する際には、その特徴や効果を正しく把握することが重要です。ここでは、集中購買によって得られるメリットに焦点を当てて解説します。

購買コストや間接費の削減につながる

サプライヤーの中には、発注量に応じて値下げするところがあります。もしくは大量購入によってボリュームディスカウントの交渉がしやすくなります。どちらにせよ、購入品そのものの単価が下がれば、それだけ経費削減につながることは言うまでもありません。また、集中購買にすれば各部署・事業所に発注担当者を設置する必要がなく、人件費の削減も実現できます。

業務効率の向上につながる

集中購買の実施は、業務効率の向上にも貢献します。各部署・事業所における購買業務が不要となれば、発注担当者の業務負担が減らせ、生産性のあるコア業務に集中しやすくなります。また、同じサプライヤーから一括購入することで、購買プロセスが透明化され、スムーズな購買活動が可能です。購買の決定プロセスも迅速に行われることで、企業全体の生産性向上にも寄与します。

購買プロセスが管理しやすくなる

集中購買は一元管理のため、組織全体の購買プロセスや購買データをより把握しやすくなります。また、過去のデータが蓄積され、常時支出を監視・チェックすることも可能です。その結果、これまでよりも在庫管理や購買ルールの徹底ができ、適切な購買管理が行えます。さらに購買プロセスが標準化されれば各取引を追跡でき、不正行為やサプライヤーとの癒着・利益相反などのリスク予防ができます。

サプライヤーとの関係を強化できる

集中購買では特定のサプライヤーと長期的かつ良好な関係を構築できます。なぜなら、購買業務が一元化されることでサプライヤーとのコミュニケーションが効率化され、より密接な関係を築きやすくなるからです。その結果、安定した供給や充実したアフターサービス、品質の向上などの恩恵が期待できます。また、大量購入によって価格交渉が可能になるため、サプライヤーに対する交渉力の向上も見込めます。

集中購買を行う4つのデメリット

集中購買では、特に以下の点について十分に考慮し、事前にリスクを把握しておくことが重要です。

購買活動の柔軟性が低下する

集中購買のデメリットのひとつとして、購買活動の柔軟性低下が挙げられます。集中購買は、購買業務が一極集中になるので、部署や事業所ごとの急な変化への対応が難しいです。また、特定サプライヤーと長期契約を結ぶことで、市場の変化に対して購買戦略を柔軟に変更しにくくなります。例えば、急激な市場変化により商品価格が上昇しても、特定のサプライヤーに依存していることで対応が遅くなり、企業全体の業績に影響を及ぼすリスクがあることを留意しておくべきです。

購買管理の煩雑化や負担が増加する可能性がある

集中購買を実行すれば各部署・事業所の業務効率化が期待できます。しかし、状況によっては購買管理部署で業務が煩雑化したり、負担が増えたりすることがあるので、注意が必要です。特に部署や事業所の数が多い場合、購買ボリュームも必然的に大きくなるので、管理の難易度が上がります。また、各部署・事業所の購入ルートやサプライヤーを集約する作業は予想以上に難しいので、管理コストが上昇する可能性もあります。そのため、集中購買を効果的に実施するには、適切なシステムの導入や業務プロセスの最適化が重要です。

納入が遅れる可能性がある

集中購買は購入決定に時間がかかるため、納入の遅延リスクを増加させる可能性があります。集中購買では、各部署・事業所の発注量や要望を集約しなければなりません。また、購買管理部署と各部署・事業所間のコミュニケーションに時間がかかってしまう事態も起こり得ます。発注から納入までのタイムラグがあればあるほど、正確な在庫状況の把握が難しくなります。

新規開拓の機会損失やサプライヤーリスクがある

集中購買には、新規開拓の機会損失やサプライヤーリスクがあることも見逃せません。集中購買によって特定のサプライヤーとの長期的な関係が重視されれば、新しいサプライヤーや製品・サービスを知る機会が減ってしまいます。既存サプライヤーとの関係を優先するあまり、より良い条件や品質を提供する新規サプライヤーの採用が見送られるケースも少なくありません。

集中購買の購買プロセスを最適化するための5ステップ

集中購買を効率的に行うには、購買プロセスの最適化が重要です。ここからは、どのような手順で最適化を実施すればよいのか、詳しく解説します。

1.購買方針や購買プロセスを見直す

効率的に集中購買を行うためには、あらかじめ社内で購買方針を統一化しなければなりません。そのため、まずは現行の購買方針や購買プロセスをよく分析し、プロセスの簡素化や標準化を進めましょう。

2.サプライヤーの選定をする

次に、自社の購買ニーズにあったサプライヤーを選定しましょう。選定では展示会や見本市、企業のウェブサイトなどからの情報収集が欠かせません。このとき、コストパフォーマンス以外に、QCD(品質・コスト・納期)のバランスやサプライヤーの経営状況・動向についても調べることが大切です。そして取引量が多いサプライヤーとは長期契約し、パートナーシップの構築を検討しましょう。長期契約には新規開拓の機会損失などのデメリットはあるものの、安定した供給や有利な取引条件といったメリットが得られます。

3.購買担当者の人材育成・教育をする

購買担当者の知識とスキルが向上すれば、より適切な購買決定につながります。また、サプライヤーとの交渉における優位性確保にも寄与します。そこで、購買担当者の人材育成やスキルアップのために、定期的な研修やトレーニングを実施しましょう。適切な教育を受けた購買担当者がサプライヤーとの関係構築やコスト交渉といった戦略的な業務を担えれば、会社全体の生産性向上にも貢献します。

4.購買管理システムを導入する

人材を育成・教育するだけでなく、業務負担がかかりすぎないようにすることも大切です。集中購買では事務処理が購買部署に集中されるため、業務量は増加します。その対策として、有効なのが購買管理システムの導入です。システムを導入すれば、発注や書類作成などを効率化できます。また、リアルタイムでデータを確認・管理できるため、人的ミスやデータの改ざんなどの不正行為防止にも寄与します。購買管理方法やサポート体制、導入実績などから自社にあったシステムを選びましょう。システムの機能だけでなく、現場の担当者が使いこなせるかどうかもよく検討することが重要です。

5.継続的なモニタリングと改善を行う

効果的な購買活動を行うために、サプライヤーは契約締結後でも継続的にパフォーマンスのモニタリングをしましょう。必要があれば見直しや改善をし、関係強化を図ることが重要です。さらにコスト分析や市場動向などもよく監視し、定期的に集中購買の方針を見直し、改善しましょう。

集中購買の効率化にはSAPがおすすめ

集中購買の効率化のためにシステムの導入を検討中であれば、世界中で導入実績があるSAP社のERP(統合基幹業務システム)がおすすめです。SAP社はERP市場における世界有数の企業で、多種多様な業種・業態に対応したERPを提供しています。例えば、中小企業向けのERPシステム「SAP Business One」や、SaaS型ERPである「SAP S/4HANA Cloud」などが挙げられます。

SAP Business Oneは、購買管理をはじめ財務管理や各種分析などさまざまな機能で、業務をあらゆる局面でサポートします。一方のSAP S/4HANA Cloudは、「SAP Central Procurement」によって集中購買のプロセス管理や分析などが行え、購買業務を支援します。

「SAP Business One」
URL:https://www.sap.com/japan/products/erp/business-one.html

「SAP S/4HANA Cloud」
URL:https://www.sap.com/japan/products/erp.html

まとめ

集中購買を実行することにより、コスト削減や購買業務の効率改善、データの一元化、サプライヤーとの関係強化といった効果が期待できます。しかし、実施・管理を成功させるためには、業務プロセスの最適化が重要です。

そこでおすすめなのが、SAP社のERPシステムです。SAP社では「SAP Business One」や「SAP S/4HANA Cloud」といった中堅企業や中小企業向けの統合型管理システムを展開しており、集中購買の実施や管理をサポートします。

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