グループ経営の成功戦略!複数企業を効率的に管理するための具体的手法を解説

 クラウドERP導入ガイド編集部

近年、複数の拠点を抱える企業では、グループ経営を行うところが増えています。グループ経営を成功させる上で重要なことは、グループ企業各社の状況をいかに正確に把握するかですが、そのために有効なソリューションがERPです。本記事ではグループ経営のメリットや課題を紹介するほか、グループ経営においてERPがどのような役割を果たすかについても解説します。

企業の成長を促進する、グループ経営とは?

グループ経営とは親会社に加えて、資本関係がある子会社や関連企業などもひとつの企業グループとみなす経営モデルのことです。従来、子会社や関連会社は個別に管理されるのが一般的でしたが、2000年3月期決算から連結決算が主流となったことで、多くの企業がグループ経営に舵を切るようになりました。特にホテル事業や交通事業、家電や自動車メーカーなど大手企業の多くがグループ経営を行っています。

子会社・関連会社の違い

子会社も関連会社も親会社(または持株会社)との関係性を示した言葉ですが、資本関係の強さに違いがあります。子会社は親会社が50%以上の株式(議決権)を保有している会社です。一方、関連会社は親会社が20%から50%未満の株式(議決権)を保有している会社です。ともに経営に関する決定は親会社からの影響を受けますが、完全に支配されるわけではありません。親会社からの影響は関連会社より子会社の方が強くなります。

グループ経営を取り入れる企業が増える背景

グループ経営を取り入れる企業が一気に増えたのは、先述した2000年3月期決算からです。従来の個別決算中心主義がこの決算より連結決算中心主義へ移行したことで、グループ経営の成果が連結財務諸表によって明確に分かれるようになりました。それにより多くの企業が連結業績の向上に力を入れ始めたのです。

しかし2000年から20年以上経った現在も、グループ経営を行う企業は増え続けています。その背景として考えられることのひとつがM&Aの増加です。加えて近年は持続的成長のため、多くの企業で事業ポートフォリオによる経営資源の再配分が進んでいます。ヒト・モノ・カネの配分を見直す中で、グループ経営を選択する企業が増えていることも要因のひとつと言えるでしょう。さらに従業員が事業継承などを機に経営者となるケースも多く、企業の分社化が進んでいることも一因です。

グループ経営のメリット

グループ経営には、主に3つのメリットがあります。

グループ内における意思決定の迅速化を図れる

従来のように子会社や関連会社が個別で経営を管理していると、それぞれの方向性が違った場合すり合わせが必要となり、迅速な経営判断が難しくなります。

近年のビジネス動向は移り変わりが早く、企業の成長のためには迅速な経営判断が欠かせません。グループ経営では親会社や持株会社が共通の事業理念に基づき、トップダウンで意思決定を行うため、スピード感を持って経営判断が行えます。

さらに、親会社・持株会社が経営判断を担い、子会社・関連会社が各事業に専念する役割分担を明確にすることで、業務効率の向上も期待できます。

経営資源の最適な分配・管理を実現できる

グループ経営では、ヒト・モノ・カネといった経営資源の分配は親会社が担います。赤字部門を縮小して黒字部門に資金を投入するなど、経営資源を最適に配分できるのがメリットです。人材に関しても、会社をまたいだ適材適所の配置が行えます。さらに、事業ごとに子会社や関連会社を設立することで、それぞれの業界や業種に適した経営形態や人事制度を柔軟に導入できます。

経営リスクをグループ内に分散化できる

グループ経営では、各事業が独立した法人として運営されているため、リスク分散が図れる点がメリットです。例えば、ある事業で業績が悪化したり、大きな損失が発生したりした場合でも、法人ごとに分離されているため、他の事業への影響を最小限に抑えることが可能です。しかし、グループ経営では命令を受けた1社のみの業務を停止すればよいため、全体的な経営へのダメージは少なく済みます。

グループ経営のデメリット

グループ経営にはメリットが多い反面、デメリットもあります。

管理コストの増加

グループ経営では総合的な経営判断のため、複数の企業や事業部の様々なデータを親会社が一元管理する必要があります。そのため、個別で管理していた頃よりも複雑な経営管理や監査、コンプライアンス対応を行わなければなりません。

また、多くの異なる事業や企業をグループとして保有しすぎると、事業ポートフォリオが複雑化し、リスクの把握や経営資源の配分が難しくなりがちです。もしグループ内に利益目標や経営方針が異なる事業体や部門があると、利害対立にもつながります。

こうした問題に対し、事業ポートフォリオの整理や方針の統一、事業間でのすり合わせなどを行っているうちに、調整コストが増大する可能性もあります。

意思決定の遅延

グループ全体での意思決定を行う際、事業部や子会社間で利害対立があったり、ビジョンが共有できなかったりすると、調整が必要になり意思決定までに時間がかかります。特に海外に拠点や事業体を展開している場合、市場や文化、価値観も異なる部分が多く、調整に時間を要し迅速な対応が難しくなるかもしれません。

また、各事業体や子会社が独自のシステムや業務フローを採用している場合、情報が分散してサイロ化が進み、データの一元管理やグループ全体での情報共有が難しくなります。そうすると経営の透明性や効率性に悪影響を及ぼしかねません。

このような課題の解決のためには、データを集約できる仕組みが必要です。特に海外など文化や価値観が異なる場所との意見や目標のすり合わせのためには、共通的な数字(KPI)が大きな意味を持ちます。

リスク管理の複雑化

各事業体や子会社が海外にもある場合、各国での法規制や税制、労働基準に従う必要があります。国内拠点が全国に点在している場合も、地方自治体ごとの法令を把握する必要があります。それにより、コンプライアンスやリスク管理が複雑化するのは、グループ経営のデメリットです。

またデータ管理や情報保護が複数の拠点にまたがれば、セキュリティ面でのリスクも増加します。セキュリティ面での対策を充実させるには、さらなるコストがかかるでしょう。

加えて、収益性の低い事業が全体の足を引っ張るリスクもあります。会社の事業部のひとつであれば廃止も容易ですが、独立して法人化している場合は事業を清算するにも複雑な手続きが必要になります。

グループ経営の成功には「ERP」の導入が不可欠

先述した通り、グループ経営を成功させるには各事業体や子会社のデータを集約して管理できるシステムが必要です。営業や財務、人事などのデータを一元管理できる「ERP(Enterprise Resource Planning)」は、グループ経営に最適なシステムです。ここからは、ERPがグループ経営にどう役立つかについて、詳しく解説します。

ERPはグループ経営に様々な価値を提供する

ERPはヒト・モノ・カネ・情報といった企業の経営資源を一カ所で統合的に管理するシステムです。営業や財務、人事や生産など企業内のあらゆる情報や業務プロセスが集約されており、これを有効活用することで経営や業務の効率化・最適化を実現できます。

グループ経営において、各事業体や子会社が個別にシステムを運用していると、基準やルールにズレが生じ、扱うデータへの信頼度も落ちます。それはグループ企業を統制する上で、致命的な支障になりかねません。しかしERPを活用すれば基盤が共通になり、国内外に点在する拠点の様々なデータを管理しやすくなります。

グループ経営では経営資源をいかに上手く分配し、グループ全体で高い利益を上げるかが重要です。そのためには各拠点の売上やコスト、人材などのデータを効率よく分析する必要があります。ERPは業務効率化や標準化、データ統合など、多方面でグループ経営を支えるシステムです。

グループ経営に強い「SAP ERP」の特長

「SAP ERP」は、ドイツに拠点を持つ「SAP社」が提供するERPソリューションです。様々な機能がひとつにまとめられたパッケージ製品で、製造業を中心に世界No.1の販売実績を誇っています。

会計機能だけでERPと謳うシステムもありますが、SAP ERPは会計、財務、販売、人事、購買、サプライチェーンから顧客管理まで、ほぼすべての業務領域を網羅しているのが利点です。これひとつで親会社から子会社まで、グループに属するあらゆる企業の業務データを一元管理できます。

また、パッケージ製品でありながらカスタマイズ性や拡張性に富んでいるのも特徴です。標準機能で足りないものがあっても、パラメータ設定を変更するだけで、容易にカスタマイズできる部分が多くあります。

対応できる事業の多さや高い柔軟性といった特徴は、多事業を展開するグループ経営のデータ管理に適しています。また、世界的に普及しているシステムのため、多言語・多通貨はもちろん、各国の商慣習・法令への対応が可能です。海外にもグループの拠点がある企業などには、特におすすめのERPです。

SAP ERPでのグループ経営の成功事例:オプテックス株式会社

グループ経営におけるSAP ERP導入の成功事例として、オプテックス株式会社を紹介します。

滋賀県大津市に本社を置くオプテックス株式会社は、国内外各地に子会社や拠点を持つ中堅センサーメーカーです。拠点ごとにシステムを構築していたため、在庫量や受注量が見えにくく、全体の経営判断が困難でした。

加えて、営業やマーケティングを代理店任せにしていたため、顧客のニーズを把握しにくいという課題も抱えていました。そこで同社が取り組んだのが、海外を含む各拠点のシステムを一元化する守りのDX「グローバル業務改革」と、直接顧客に営業やマーケティングを行う攻めのDX「ビジネスモデル変革」です。

そのために同社は、SAPのERPソリューション「SAP S/4HANA」を導入しました。SAP S/4HANAを選んだ理由は、世界中の企業で導入実績があることと、各国の拠点でバラバラに運用されているシステムを統合できることです。

国内外15拠点にSAP S/4HANAを導入した結果、データは一度入力するだけで各システムに反映され、表計算ソフトでのデータ作成の手間が省けました。業務を効率化できただけでなく、全体の経営状況をリアルタイムで確認できるようになったのも利点です。

また、システムを導入することでペーパーレス化が進み、紙代などのコスト削減も実現しました。オプテックスのように海外に多数の拠点を抱える企業では、SAP S/4HANAのように幅広い業務を網羅し、海外拠点を含めたシステム一元化にも対応できるERPが適しています。

まとめ

迅速な意思決定や最適な経営資源の分配、リスク分散が可能なことから、複数の拠点を持つグループ経営を行う企業が増えています。しかし、拠点ごとに別々のシステムで運用していては、サイロ化が生じグループ経営のメリットを享受できません。グループ経営を成功させるには、子会社や関連会社などグループに属する企業のデータを一元管理する必要があります。

ERPはデータ統合などの機能により業務の効率化や標準化に貢献するだけでなく、コンプライアンス遵守やリスク管理の面でも大きな価値を提供します。特に世界で高いシェアを誇るSAP社のERPなら、多言語や多通貨、海外の商慣習や法令にも対応できます。

それにより迅速で正確な経営判断ができるだけでなく、グローバルでの競争力強化や持続的成長も可能にするでしょう。グループ経営におけるシステム統合にご興味がある企業の方は、ぜひSAP ERPの導入をご検討ください。

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