MCFrameとは?製造業のためのERPソリューションを徹底解説

 クラウドERP導入ガイド編集部

ERPシステムの導入を検討しているものの、どれにすればよいのかわからないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ERPは、業務の統合と全体最適化を目指したシステムですが、製造業に特化したERPにMCFrameがあります。MCFrameの概要や種類、それぞれのツールの機能を解説、また具体的な導入実績についても紹介します。

製造業に特化したERP「MCFrame」

MCFrameは、ビジネスエンジニアリング株式会社が開発した製造業に特化したERP(企業資源計画)アプリケーションです。1996年の提供開始以降、多くの企業による導入実績があります。強みは製造現場のIT化に貢献できることで、生産現場のモノの管理を効率化するための機能が豊富に備わっており、企業ごとの状況やニーズに応じて柔軟にカスタマイズできます。また、一部の製品には原価計算機能が搭載されており、製造コストの詳細な把握や分析をサポートします。

モノの管理だけであれば、MCFrameでもSAPでも、どちらでも対応可能ですが、収益、損益、原価を包括的に管理・分析するには、SAPが必要です。SAPはモノと財務情報を一体化して管理し、より高度な経営判断をサポートします。

さらに、MCFrameは多言語や多通貨、複数会社管理が可能で、海外での現地サポートも充実しているため、すでにグローバル展開している企業やこれからグローバル展開を目指している企業も安心して導入できます。

MCFrameのラインナップ

MCFrameには、製造業のさまざまな課題に対応する製品シリーズがあります。

MCFrame 7シリーズ

MCFrame 7シリーズは、日本の製造業のノウハウを実装した純国産パッケージで、組立加工、プロセスバッチなどさまざまな生産体系に適用できます。また、食品、医薬品、化粧品などのプロセス製造業や、電子部品、産業機器、自動車部品などの組立加工製造業まで、幅広い業界に対応しています。さらに、生産管理だけでなくグローバルサプライチェーン管理も可能で、製造業のサプライチェーンとコストマネジメントに役立ちます。

MCFrame 7 SCM

MCFrame 7 SCMは、製造業のサプライチェーン管理に特化したソリューションツールです。国内と海外の両方で利用できるだけでなく、医薬品業界を含むさまざまな製造業の製造管理に対応しています。機能的な特長としては、以下のものが挙げられます。

・多様な生産形態への対応
生産形態は企業によってさまざまです。MCFrame 7 SCMは見込生産、受注生産、半見込生産といったあらゆる生産形態に対応しており、それらを組みあわせて利用できます。

・需要情報の一元管理
月、旬、週、日単位での需要情報を集約して一元管理することにより、供給を想定した在庫バランスの確認が可能です。

・製番縦串での進捗管理
受注から製造、部材の調達まで製造番号の一貫した進捗管理ができます。

・業界特有の要件への対応
組立加工系やプロセス系など、各業界特有の要件に対応しています。

MCFrame 7 PCM

MCFrame 7 PCMは、製造業向けの原価管理・分析ソリューションです。PDCAサイクルの改善による製造業のコスト戦略実現と競争力維持支援をコンセプトとしています。

主な機能は、以下の三点です。

・多様な原価計算手法
標準原価、実際原価、実績原価、予算原価の四つの仕組みに対応しており、戦略的な原価情報の活用が可能です。全社部門だけでなく工場ごとや部門ごとなど、任意のグループごとに原価計算を行い、それぞれ分析・確認できます。

・高度な配賦機能
きめ細やかな配賦機能を実装しているため、実態に即した費用配分が可能です。

・目的別原価計算
IFRS(国際会計基準)や管理会計、財務会計といったさまざまな目的に応じた原価計算ができます。

MCFrame 7 CFP

MCFrame 7 CFPは、製造業向けのカーボンフットプリント(CFP)算定システムです。製造業の環境経営実現を支援し、効果的なCO2排出量管理と削減活動を実現します。また、MCFrame 7 SCMと連携して使用すれば、CO2排出量を細かく計算できます。

このツール特有の機能やメリットは以下の通りです。

・実態に即したCFP算定
生産管理システムの生産実績データを活用することで、より実態に近いCFPを算定できます。歩留まりなど、日々の変動を考慮した数値も算定可能です。

・詳細な分析と可視化
製品別、構成品別、工程別などの視点でCO2排出量を確認できます。排出量のホットスポットを特定し、集中的な対応を検討できます。

・時系列での傾向把握
季節変動や削減努力による低減といった時系列の傾向を把握するためには、短いサイクルでの算定が欠かせません。MCFrame 7 CFPでは、1~数ヵ月の短いサイクルでもCFPを算定できます。

・自動化と効率化
マスターデータとしてセットすることで、CFP算定を自動化できます。

MCFrame PLMシリーズ

MCFrame PLMは、複雑化するビジネス環境に柔軟かつ迅速に対応するためのエンジニアリングプラットフォームです。エンジニアが付加価値のある業務に集中できる環境を提供します。例えば、プロセスの標準化や部門間データの整流化によって企業の競争力向上に寄与します。

主な特長は、以下の通りです。

・データ統合
BOMと製造工程情報(BOP)を活用し、組織内の散在データを構造化して一元管理を可能にします。

・効率化
エンジニアの業務には付帯作業がつきものです。MCFrame PLMは直感的な操作でE-BOM・M-BOM・BOPを簡単に作成できるため、コア業務以外の作業から解放されます。

・QCD向上
QCDとは、「品質・費用・納期」のことです。MCFrame PLMは、蓄積データを活用することでQCDの向上に寄与します。

・即時共有
エンジニアリングプラットフォーム上のデータは関係者に即座に共有されます。納期短縮や品質向上に効果的です。MCFrame PLMは、次の二つのサービスを展開しています。

MCFrame PLM Visual BOM

MCFrame PLM Visual BOMは、設計から製造への情報伝達を効率化するためのエンジニアリングプラットフォームです。従来のBOMに3DCADデータを軽量化したXVLテクノロジーを融合させています。

主な機能は以下の通りです。

・クロスプローブ
部品間の相互参照を可能にする機能です。

・ビジュアライゼーション
設計変更の差異を視覚的に表示し、正確な情報伝達が行えます。

・E-BOMからM-BOMへの展開
設計部品表(E-BOM)から手間なくスムーズに製造部品表(M-BOM)を作成します。

これらの機能は、特に産業機器メーカーが少量多品種生産で競争力を維持するために必要なQCD(品質・コスト・納期)の向上に効果的です。蓄積されたコストや出荷数だけでなく、形状情報も突きあわせて検討できます。

MCFrame PLM EM-Bridge

MCFrame EM-Bridgeは製造に関するマスターデータを統合管理するアプリケーションです。設計の段階から製造工程に必要なさまざまな情報を管理および共有できるシステムで、製造プロセスの効率化とコスト管理を支援します。具体的には、主にE-BOM(設計部品表)からM-BOM(製造部品表)への変換と製造工程情報(BOP)の生成を行います。

主な機能は、以下の通りです。

・データ統合管理
E-BOM、M-BOM、BOPの関連情報がばらばらだと、迅速な意思決定ができません。MCFrame EM-Bridgeではこれらを一元管理します。そのため、設計変更が生産管理に与える影響を迅速に判断できます。

・工程表(BOP)の管理
QCD改善のためには設計と製造の情報を統合することが重要です。MCFrame EM-Bridgeは製造工程情報(BOP)を中心に、各生産拠点の製造工程や設備情報を共有します。

・原価企画とライフサイクルコスト管理
標準原価や実際原価を用いて、開発初期段階から精度の高い原価見積もりを行う機能です。早期の原価低減施策の検討が可能になるため、収益性の向上につながります。

MCFrameX

MCFrameX(略称:mcX)は、カスタマイズ可能なクラウドERPサービスです。MCFrameシリーズのコンセプトと豊富な導入経験によって培われたナレッジを、クラウド時代にあわせることを目的として開発されました。

mcXには以下のような特長があります。

・ユーザーインターフェースの使いやすさ
mcXは直感的なユーザーインターフェースを提供しており、ノーコード・ローコードでの開発が可能です。ユーザーは簡単に条件や処理を追加でき、スキルに関係なく利用しやすくなります。

・柔軟なカスタマイズ
業務要件が複雑な製造業に対応するために最新のクラウド技術を活用し、初心者でも簡単にカスタマイズやアップグレードが可能です。さらに、プラグインやAPIを通じてコア機能に手を加えずにビジネスロジックを追加できます。

・データ活用基盤
迅速かつ的確な意思決定のためにデータの活用は欠かせません。mcXは基幹業務データや外部データを統合することにより、データドリブン経営を支援します。また、最新のAI技術と統計分析を活用しているのもメリットのひとつです。

MCFrame IoTシリーズ

MCFrame IoTシリーズは、製造現場のデジタライゼーションを推進するためのシリーズです。このシリーズは現場の「勘」や「経験」といった暗黙知をデジタルデータに変換し、形式知として共有・活用できるようにします。

主な特長は以下の通りです。

・データ化と共有
スキルや知識の属人化が生産性を下げてしまう例は少なくありません。MCFrame IoTシリーズの導入で熟練者のスキルや知識をデジタル化し他者と共有することは、属人化の解消や生産性向上につながります。

・判断支援プラットフォーム
人と機械から得られる情報を整理・整形し、デジタル化された「勘」として判断をサポートします。

MCFrame IoTシリーズは次に紹介する三つの製品群から成り立っています。

MCFrame SIGNAL CHAIN

MCFrame SIGNAL CHAINは、センサーや装置から発生する非定型データを収集・整形するためのIoTプラットフォームです。クラウド環境でも利用できます。機能によっては最短1週間で導入できるため、短期間での運用開始が可能です。

このサービスは以下のような機能を搭載しています。

・データ可視化と分析
設備の稼働状況を自動取得することにより、リアルタイムで「工場の今」を見える化します。センサーデータや作業情報を同一画面で確認できるため、分析に基づく業務改善が可能です。

・4Mデータの統合
設備だけでなく、人、モノ、メソッドのデータを収集し、高度なIE活動を実現します。

・迅速な経営判断
業務特化型アプリケーションやBIツールへのデータ提供も行えます。ERPなどの業務データと連携すれば、オペレーションとプランニングの統合も可能です。製造現場の状況を定量的に把握することで経営判断を迅速化します。

MCFrame MOTION

MCFrame MOTIONは、作業のデジタライゼーションを通じて作業者の能力向上を目指すシステムです。現場教育と作業効率化を統合的にサポートします。作業員の位置や作業内容を視覚化する「MCFrame MOTION Human-tracking」と、VRを活用したトレーニングシステム「MCFrame MOTION VR-learning」を搭載しています。

MCFrame MOTION Human-trackingは、センサーやカメラを用いて作業者の位置情報や動作を取得し、作業時間や動線を定量的に分析するシステムです。AIによる画像認識技術が導入され、動画から自動で工程作業を分析し、標準作業時間との比較が可能となりました。作業の無駄や効率悪化の要因が可視化され、改善ポイントが特定しやすくなります。

MCFrame MOTION VR-learningは、実際の作業現場を撮影して作成したVR教材を利用します。臨場感のある現場教育を提供するシステムで、自由な場所とタイミングで学習できます。また、インタラクティブな教材作成も可能です。

MCFrame RAKU-PAD

MCFrame RAKU-PADは、紙の帳票をデジタル化し、業務プロセスを改善するためのシステムです。検査記録や製造実績、トラブル報告など業務のデジタル化により、業務効率化やコスト削減、品質向上を実現します。

主に以下のような機能を搭載しています。

・デジタル入力
紙の帳票フォーマットをそのままタブレットに移行し、ノーコードで簡単に入力画面を作成する機能です。直感的なデジタルインプットにより、作業者の入力ミスを減少させます。

・データ可視化と分析
入力したデータを一覧表やグラフに変換する機能です。QC七つ道具にも対応しており、リアルタイムで現場状況を把握できます。また、SPC(統計的工程管理)機能により、不良品の発生を防ぐためのアラート通知も行います。

MCFrameの導入実績

MCFrameが誇る豊富な導入実績の中から、具体的な例をいくつか紹介します。

顧客・製品別の収支可視化に成功

プラスチック部品の成形や医療検査キットの製造を行うある企業では、製品や事業部ごとに生産情報がサイロ化しているという課題を抱えていました。そこで生産情報の一元化と原価管理の実現のため、同社はMCFrame 7を導入したのです。その結果、在庫精度の向上と予測に基づく在庫圧縮が可能となっただけでなく、顧客・製品別の収支が可視化されました。また、生産から販売、原価までを統合管理するSCM基盤を構築することでExcel業務も撤廃できました。

経理情報の一元管理を実現

電気・電子材料、化学材料、金属材料、合成樹脂原料、工業用フィルムといった幅広い素材を扱うある企業では、MCFrame GAを導入して海外現地法人の帳簿を含む経理情報を一元管理することに成功しました。これにより、グループ全体の経営状況についてリアルタイムで把握できるようになったのです。また、経理業務の効率化により、データ入力や集計作業の負担が軽減されました。さらに、多言語・多通貨に対応したシステムを構築したことで海外拠点との連携も強化されました。

まとめ

ERPは企業内の人的資源・資産を統合管理し、情報の一元化や業務の効率化などを図る考え方です。MCFrameに代表されるERPの導入には、さまざまなメリットがあり、各企業は常にシステムの導入を検討しています。製造業務の収益性を大幅に向上させる、製造業に特化したMCFrameには、MCFrame 7シリーズやMCFrame PLMシリーズ、MCFrame IoTシリーズなどがあり、独自の機能を備えています。

ERPサービスは対応している業務領域が多い、少ないなど多種多様です。国産のサービスもあれば、外資企業が運営するサービスもあり、対応している業務領域などそれぞれ特性が異なるため、しっかり比較して検討することが大切です。

この記事を書いた人
クラウドERP導入ガイド編集部
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