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シェアードサービスとは?企業内のリソースを共有化して業務効率を高める方法

作成者: クラウドERP導入ガイド編集部|2024/12/16

複数のグループや事業部で構成される企業が、間接部門の業務をひとつに集約するシェアードサービスが、近年の少子高齢化による人手不足や働き方改革の推進により、大きく注目されています。本記事では、シェアードサービスのメリットやデメリットはもちろん、具体的な導入の流れや、どの部署を対象にするかなども解説しています。

シェアードサービスとは

シェアードサービスとは、複数の関連会社を持つ企業において各事業部門で重複するバックオフィス部門(経理、人事、総務など)を一元化して、専門性の向上や迅速化、経費の削減などを図る手法を指します。対象となる主な業務は、経理、人事、総務、情報システムなど、各事業部門で共通している部分が多い業務です。これらの業務を一元化することで、人件費やシステム運用費などの固定費削減、専門性の高い人材による品質向上、データの一元管理による経営の透明性向上、そして人材育成といった多岐にわたるメリットが得られます。

シェアードサービスセンターとは

シェアードサービスセンター(Shared service center:SSC)とは上記のシェアードサービスを集中させて業務を行う場所のことです。企業の中に一部門として設けられることもありますし、別会社として設立されることもあります。

初期には、企業の一般管理部門における人件費の削減を目的として設立されるケースが一般的でした。しかし、次第により高い専門性が求められるようになり、業務の標準化や迅速化が期待されるようになりました。人材採用が困難な状況下において、SSCはより高度な専門性を活かして、グループ全体の戦略的な課題解決や新たな価値創造に貢献することが求められています。

例えば、データ分析による経営意思決定への貢献、デジタル化による業務改革の推進、イノベーション創出のためのプラットフォーム構築などが挙げられます。
このように、SSCは単なる経費削減のための部門から、企業全体の成長を牽引する戦略的なパートナーへとその役割をシフトさせています。

シェアードサービスとBPOの違い

シェアードサービスとよく似た手法にBPO(Business Process Outsourcing)があります。両者はどちらも企業の業務迅速化や経費削減を目的とした手法ですが、その特徴や目的は異なります。BPOは、企業が自社内で行っている業務の一部、特にコア業務ではない経費精算や請求書発行など、ルーティンワークや専門性の低い間接業務を外部企業に委託する手法です。これにより、企業はコア業務に注力でき、専門性の高いサービスを外部から調達できるというメリットがあります。

一方、シェアードサービスは、複数のグループ企業が共通して持つバックオフィス部門を、グループ内のひとつの組織に集約する手法です。大きな違いは、BPOが外部企業との契約に基づくものであるのに対し、SSCを設けることはグループ内での協業という点が特徴です。

シェアードサービスとアウトソーシングの違い

もうひとつ、シェアードサービスと似通っている手法がアウトソーシングです。両者はどちらも企業の業務迅速化や経費削減を目的とした手法ですが、その特徴に違いがあります。

アウトソーシングは、仕事の一部を外部企業に委託し、専門性の高いサービスを受けることで、自社のコア業務に集中できるというメリットがあります。一方、SSCを設けることは、グループ企業内のバックオフィス部門を集約し、共通化することで、業務の迅速化や経費削減を図る手法です。

SSCを設けることは、グループ各社で分散していたバックオフィス部門の担当者が一箇所に集まり、新たな組織の一員として働くイメージです。この際、「収益に貢献する」という意識を持つことが求められます。意識改革がなされれば、業務の迅速化や新たなサービスの創出など、多様な効果が期待できます。

シェアードサービスが注目されている背景

近年、シェアードサービスが注目されている背景には、いくつかの要因が考えられます。ひとつは、少子高齢化による人手不足の深刻化です。さまざまな業種で人材確保が困難になるなか、SSCを設けることは、限られた人員で効率的に仕事を行うための有効な手段となります。

また、働き方改革の推進も、シェアードサービス導入を後押ししています。業務の標準化や自動化により、労働時間の短縮や働き方の多様化を実現できます。さらに、デジタル化の進展も導入を加速させています。人工知能などの技術により、高度な業務迅速化が可能となり、人材の高度化も促します。

シェアードサービスのメリット

シェアードサービスを導入することによって、企業にはさまざまなメリットがもたらされます。具体的なメリットについて紹介します。

経費削減

サービスの導入は経費削減につながります。それは、企業規模が大きくなるほどその効果を発揮します。導入により、各事業所で分散して行われていたバックオフィス部門を集中管理し、重複する業務を削減できます。また、プロセスを標準化することで、作業効率を大幅に向上させることができます。これにより、人件費や管理費などの経費削減につながり、企業全体の収益性向上に貢献します。

さらに、業務の標準化によって、従業員のスキルアップやノウハウの共有を促進し、組織全体の競争力強化にもつながります。SSCの導入は、単なる経費削減策ではなく、企業の持続的な成長を支えるための重要な経営戦略のひとつです。

業務品質の向上

企業全体の業務品質の向上に大きく貢献することも、大きなメリットのひとつです。今までは各グループ企業に分散して行われていた業務を、SSCを設けて一元化することで、これまで培ってきたノウハウを共有し、業務の標準化を図ることができます。これにより、業務の迅速化が進むだけでなく、専門性も高まり、品質のバラつきを解消し、一貫した高品質なサービスを提供することが可能になります。

人的リソースの有効利用

シェアードサービスを導入することにより、仕事量の平準化による人的リソースの最適化に大きく貢献します。例えば、経理部門においては、月次決算や年次決算など、特定の時期に仕事量が集中しやすい傾向があります。このような状況でサービスを導入すれば、グループ内の複数企業の締め日を分散させ、業務ピークを平準化することが可能になります。これにより、ピーク時の人員不足や、閑散期の余剰人員という問題を解消し、人的リソースを効率的に活用できます。また、SSCに仕事を集中させることで、専門性の高い人材を育成し、品質の向上につなげることもできます。

ガバナンス強化

ガバナンスとは、コーポレートガバナンスとも言われ、企業が健全な意思決定をするための管理体制を指します。SSCを設けることは、このガバナンス強化に対してもメリットがあります。従来、各企業でバラバラに行われていた経営管理を集中化することで、業務プロセスが透明化され、不正防止体制が強化されるからです。

特に別会社を設立する場合は、なれあいがなく互いに適度な距離感を持ったサービス提供により、業務の質が向上します。また、責任の所在が明確になり、迅速な意思決定が可能となるなど、企業全体の迅速化にも繋がります。ガバナンスの強化により、企業は投資家や顧客からの信頼を獲得し、中長期的な企業価値の向上を期待できます。

シェアードサービスのデメリット

シェアードサービスには多くのメリットがある一方で、ほかの手法と同じくデメリットもあります。その具体的な内容と対応を紹介します。

運用がスタートするまでの準備に手間がかかる

シェアードサービス導入は、関連会社の業務プロセスを標準化して、共通のシステムを利用することで経営の効率化とガバナンス強化を目指す取り組みです。しかし、この手法を導入するには、関連会社の既存システムやフローの見直し、新たなシステムへの移行など、多大な労力と時間、そしてコストが必要になります。

特に、各社で独自に運用されてきたシステムやフローを統一するためには、膨大な量のデータを整理し、新たなルールを策定する必要があります。また、新しいシステムの導入には、高額な費用がかかる場合があり、導入前に十分な資金計画を立てることが必要になります。

これらの課題を克服するためには、グループ企業全体で協力し、長期的な視点を持って導入を進めることが重要です。導入に伴う混乱や抵抗はある程度避けられないことですが、社員への丁寧な説明と、将来的なメリットを周知することで、スムーズな移行が実現可能です。

SSCを設けるには初期投資は必要ですが、長期的に見れば、人件費や管理費の削減、生産性の向上、そして企業全体の競争力強化につながる、非常に有益な取り組みです。

社員のモチベーション低下リスク

シェアードサービスの導入には、従業員のモチベーション低下や不安感といった課題も同時に抱えています。理由としては、バックオフィス部門の多くがルーティンワークであり、直接的な顧客との接触が少ないことから従業員は仕事へのやりがいを感じにくく、キャリアパスも描きづらいと感じる可能性があるからです。

また、コスト削減が主な目的と誤解され、リストラを連想してしまう従業員も少なくありません。そのため、シェアードサービスの導入にあたっては、単なるコスト削減ではなく、企業全体の競争力強化や従業員の成長を目的としていることを明確に伝え、従業員の不安を解消することが重要です。具体的には、シェアードサービス導入の目的やメリット、従業員への影響などを丁寧に説明し、キャリアパス設計やスキルアップのための支援制度などを整備することが必要です。

連携の難しさ

連携の難しさもデメリットのひとつになります。SSCを設けることで、専門知識を持つ社員が社外に集約されて、自社内の専門性が低下し、突発的な問題発生時に迅速な対応が困難になるという課題が出てきます。

バックオフィス部門であっても、専門的な知識が必要なケースは多く、担当者が不在となれば、仕事の滞りや品質低下につながる可能性があります。この問題を解決するためには、SSCと社内の連携を強化する必要があります。具体的には、SSCへの問い合わせ窓口を設置したり、定期的な情報交換会を実施したりすることで、スムーズなコミュニケーションを図ることが重要です。また、SSCに移管する業務内容を精査し、必要に応じて社内に最低限の専門性を残しておくことも検討すべきです。

シェアードサービス導入の流れ

続いて、実際にシェアードサービスを導入する際には、どのようにすればよいのか、流れに沿って解説していきます。

1.社内課題を把握する

まず、導入前に実行することは、自社の現状を正確に把握し、課題を明確にすることです。各部署で利用しているシステム、仕事のピーク時期、作業にかかる時間、人件費、そして業務上の課題などを詳細に調査することが必要です。それにより、シェアードサービス導入によって解決したい問題を具体的に特定できます。

組織分析と業務量調査を丁寧に実施することで、SSCを設ける目的を明確化し、成功確率を高めることができます。また、不要な導入を防ぎ、コスト削減にもつながります。SSCの導入は、企業にとって大きな決断であり、慎重な準備が求められます。

2.導入部署を選定する

社内課題を把握できたら、シェアードサービス導入に向けた部署選定を進めます。これまで属人化していた間接業務を標準化・集約できる部署を見極めることが重要です。対象となる部署の例としては、財務・経理、人事・総務、情報システム、物流など、標準化のメリットが大きい業務を選びます。

3.利用するツール・システムを検討する

SSCを設けるにあたっては、それぞれの企業や部門でバラバラに利用されてきたシステムの統合が不可欠になります。導入する前には、必ずシステム分析を実行する必要があり、それは単に現行システムの洗い出しだけでなく、社内課題解決に最適なシステム選定が重要です。また、システムは他の業務と連携していることが多いため、システム担当者との綿密な連携が必要になります。

統合後のシステムはシンプルで効率的な運用を可能にするよう、ベンダーと緊密に連携し、移行期間における既存システムとの並行稼働による混乱を防止するための対策も講じる必要があります。システムの統合は、シェアードサービス導入における重要な要素であり、慎重な計画と実行が求められます。

シェアードサービス導入にはERPの活用が有効

シェアードサービス導入にあたっては、グローバルERPの導入が有効です。ERPは、企業経営に必要なヒト、モノ、カネ、情報などを一元的に管理し、効率化を図るシステムです。そのなかでもグローバルERPは、多言語・多通貨対応や各国法規制への対応など、多国籍企業が抱える複雑な課題を解決するための高度な機能を備えています。このシステムによって、内部統制の強化、連結決算の早期化、海外拠点のDX推進、そしてグローバルなSSCを設けることなどがスムーズに行えるようになります。特にクラウド型のERPは、多様な言語や通貨、現地法に対応した機能を標準搭載しているため、グローバルなシェアードサービスシステムを構築する上で非常に有用です。

シェアードサービスの主な対象業務

シェアードサービスの対象となる主な業務はルーティンワークです。具体的にはバックオフィス部門である、人事労務・総務・経理財務・IT/システムなどとなります。

人事労務

人事と労務は、企業における人材に関する業務を担う部門です。人事の主な役割は、人材の採用、育成、評価といった、組織の活性化を目的とした人材マネジメントです。従業員一人ひとりの能力を最大限に引き出し、組織全体の目標達成に貢献することを目指します。

一方、労務は、就業規則の作成、給与計算、社会保険手続きなど、従業員が安心して働ける環境を整備する役割を担います。これらの業務は、労働法をはじめとする法令に基づいて行われることが求められます。

人事労務業務のなかでもシェアードサービスに向いているのが、給与・賞与計算、社会保険手続き、福利厚生対応などです。これらは一定のルールに基づいた反復作業が多いため、導入によって効率化が期待できます。一方で、人事評価制度の構築や採用活動など、専門性や裁量が必要な業務は適しておらず、企業内で専門的な知識を持つ人材によって行われることが多いです。

総務

総務の仕事内容は、企業の規模や組織体制によって異なりますが、一般的には社員が円滑に業務を遂行できるための環境整備や、会社運営を円滑にするための事務処理全般を担います。具体的には、備品管理、オフィス環境整備、電話対応、来客対応、社内行事の企画・運営、契約管理、社内制度の運用など、多岐にわたる業務が含まれます。

特に、人事部や経理部などが独立していない中小企業では、総務がこれらの業務も兼務することが多く、その業務範囲はさらに広がります。総務の仕事のなかでもシェアードサービスの対象となりやすいものは、備品管理や電話対応などの定型的な業務です。幅広い仕事内容なので、シェアードサービスへの移行は慎重に実施することが必要です。

経理財務

経理と財務は、企業における資金管理に関わる重要な業務ですが、その役割は異なります。経理は、過去の取引を記録し、企業の財務状況を正確に把握するための業務です。一方、財務は、将来の資金計画を立て、企業の成長に必要な資金を調達する業務です。中小企業では兼任する場合もありますが、大企業では一般的にそれぞれ専門部署が設置され、明確に分業されています。

経理業務の一部、特に日々の入出金処理や仕訳などの定型的な業務については、シェアードサービスの対象となります。これらの業務は、ルールに基づいた反復作業が多く、システム化しやすいことから、コスト削減や業務効率化が期待できます。
ただし、財務業務の中でも、経営戦略と深く結びついた管理会計や、内部統制の強化を目的とした内部監査などは、企業固有の状況や戦略に合わせた専門的な知識やスキルが求められるため、適していないケースが多いです。

IT・システム

IT部門において、シェアードサービスの導入が効果的な業務として、ハードウェア・ソフトウェアの管理、セキュリティ管理、ヘルプデスクなどが挙げられます。特に、ハードウェアやソフトウェアの管理、セキュリティ管理は、事業部が異なっても共通の知識やスキルが必要とされるため、対象として適しています。

また、ヘルプデスクを一本化することで、ユーザーからの問い合わせを一元的に管理し、迅速かつ正確な対応を実現できます。情報共有の円滑化や、専門知識を持つスタッフによる対応が可能となり、結果としてユーザー満足度の向上にもつながります。

さらに、ネットワークの保守・運用も、標準化された手順に基づいて行えるため、シェアードサービスの対象として検討できます。SSCを設けることにより、IT部門は、定型的な業務から解放され、より付加価値の高い業務に注力することが可能になります。

シェアードサービス部門設置時の組織形態

シェアードサービスを導入する場合、SSCの形態は本社に一部門として設置するか、子会社として独立させるかの2つが考えられます。それぞれのケースを見ていきます。

本社に一部門として設置

本社内に一部門として設置する方法は、各事業部から対象業務を移管することで組織の大きな変更を伴わずにシェアードサービスを導入できるというメリットがあります。既存の組織構造を維持したまま、共通業務を集約してサービスを提供できるようになるため、社員の混乱も少なく、柔軟な対応が期待できます。

しかし、この方法では切り替えが分かりづらく、従来の業務のやり方に固執してしまう可能性もあります。そのため、シェアードサービスの導入目的や、それによって得られるメリットを全社員に周知徹底することが不可欠です。また、本社内に部門を設ける場合、社内手続きがスムーズに進みやすいという特徴もあります。

子会社として独立

子会社化する方法では本社から独立した別法人として運営するため、プロセスを一から構築し、より効率的な運営を実現できる可能性があります。別会社として独立することで、SSCの業績を明確に評価し、経営の可視化を図ることが可能です。

一方で子会社化には、大規模な組織変更による初期投資が大きく、社員の混乱を招く可能性があるといったデメリットも存在します。また、本社との関係性において、適切な距離感を保ちながら連携していくことが重要になります。子会社化は、組織全体の大きな変革を伴うため、長期的な視点で計画的に進める必要があります。

シェアードサービスの導入事例

ここからは、実際にシェアードサービスを導入した企業の事例を紹介していきます。

車の生産・販売会社

大手自動車メーカーの事例です。自動車の生産・販売という本業に集中するため、バックオフィス部門の効率化に着手しました。まず、すべての間接業務を可視化して分析した結果、多くの業務が共通化できることが判明しました。この共通化を全社で推進し、業務を標準化することで、品質の安定化を図りました。その後、SSCを設立し、42の間接業務を集中管理することで、約4割の業務時間削減を実現しました。

この事例は、間接業務の可視化、共通化、標準化、そしてシェアードサービスの導入という一連の流れを示しており、多くの企業にとって参考になる成功事例と言えます。

電気鉄道会社

大手私鉄の事例です。この企業では、人事シェアードサービス基盤として人事システムを導入し、大幅なコスト削減を実現しました。同社は過去に、既存システムに合わせた機能追加を繰り返すことで、システムコストが膨らむという失敗を経験しています。

この反省から、パッケージ標準機能を最大限活用し、カスタマイズを最小限に抑える方針を採択しました。その結果、ランニングコストを約20%削減し、給与計算などの業務プロセスも改善できて、生産性向上に成功しています。

この事例では、人事システム導入におけるパッケージ標準機能の重要性を示唆しています。

大手電力会社

大手電力会社の事例です。この企業では、労務人事の効率化を目指して1997年から本社向けのオフィスサービスセンターを設立し、独自の人事アプリケーションを開発してきました。しかし、グループ全体への展開は進まず、各社が独自のシステムやパッケージを導入していたために業務の標準化が遅れ、保守管理費が膨らんでいました。そこで、新たに人事給与システムを導入し、グループ全体の労務人事業務の効率化に成功、年間2億7,000万円の削減が見込まれています。

この事例は、シェアードサービス導入の初期段階における成功と、その後の課題、そしてグループ全体の標準化によるコスト削減効果を示す重要なケーススタディとなります。

世界最大級の消費財メーカー

世界的な消費財メーカーの事例です。トップダウンによる強いリーダーシップのもと、従来のシェアードサービスとは異なるグローバルビジネスサービスを構築しました。世界80カ国のグループ企業への展開をわずか4年で完了。さらに、スピード感のある改革とプロセス・システムの標準化を徹底することで、10億ドル以上のコスト削減を達成しました。さらに14種類だったサービスメニューを170種類に拡大させるなど、成功を収めています。

この事例では、グローバル企業におけるシェアードサービス導入の成功事例として、多くの企業にとって参考となるでしょう。

まとめ

ご紹介してきたように、シェアードサービスはバックオフィス部門のリソースを企業内で共有化するものです。この手法により、コスト削減や業務品質の向上など、多くのメリットが期待できます。一方で、コストや手間がかかることや、社員のモチベーション低下などのデメリットも考えられます。

シェアードサービスを導入するには、メリットやデメリット、費用対効果、そして、組織形態の問題などを多方面から検討する必要があります。どのような方法をとれば自社の利益になるのか、導入事例なども参考にしながら、慎重に検討をしてください。