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経営ダッシュボードで経営判断を加速!リアルタイムで業績を把握する方法とは?

作成者: クラウドERP導入ガイド編集部|2024/12/13

企業を成長させていくには、迅速な経営判断が求められます。そのためには常に自社の業績を把握することが重要ですが、必要なデータが思うように揃わず困っている方もいるのではないでしょうか。そのようなときに役立つのが「経営ダッシュボード」です。

経営ダッシュボードとは?

経営ダッシュボードとは、企業内に蓄積したデータを一元化し、経営情報を可視化するものです。データを経営判断に役立てるために作成されます。作成にはBIツール(ビジネスデータを収集・分析できるツール)や表計算ソフトなどの使用が一般的です。

ERPを導入すれば情報を可視化できると考える方もいますが、ERPは社内の情報を一元管理するシステムです。ERPの情報を可視化するには、ツールやソフトを使って経営ダッシュボードを作成する仕組みが必要です。

経営ダッシュボードを導入する5つのメリット

経営ダッシュボードを導入するには、下記のメリットがあります。

1.経営状況の把握がしやすくなる

経営ダッシュボードの大きなメリットは、経営状況を視覚的に把握できることです。例えば、売上高の年度別や月別の変動を把握したい場合、数字だけの表では比較に手間がかかります。一方、経営ダッシュボードでは、表やグラフを活用し、必要な情報を即座に視覚的に確認できます。情報の収集・把握のスピードが上がり、迅速な経営判断が可能になります。また、問題点を早期に発見・改善できるようになります。

2.生産性の向上に繋げやすくなる

経営ダッシュボードを導入すると、生産性向上にも役立ちます。表計算ソフトを用いたレポート作成では、リアルタイムの情報取得が難しく、タイムラグが生じがちです。部署間で情報共有のタイミングがずれると、認識のズレや混乱を招く可能性もあります。さらに、形式的な文章や表ばかりのレポートは読みづらいうえ、ポイントを押さえられず、流し読みしてしまう従業員が出てくるケースもあります。

経営ダッシュボードなら、全員がリアルタイムで情報を確認でき、認識のズレや混乱が解消されます。一目で確認できるため、従業員全員がKPIなどの重要情報を把握しやすくなります。これにより、目標への意識が高まり、モチベーション向上と生産性向上につながります。

3.リアルタイムでの分析が可能になる

経営ダッシュボードはERP内に蓄積されたデータを自動で取得・出力するため、いつでもリアルタイムの情報を入手し分析できます。売上や在庫数の変化を迅速に分析し、適切な対応を取ることで競合他社に後れを取りません。KPIの更新も手軽にできるので、スピード感が必要な業界でも市場の変化に応じて効果的な施策を実施できます。

4.各部署での情報共有がやりやすくなる

部署ごとに情報共有がやりやすくなるというメリットもあります。

企業によっては、各部署が異なるシステムで情報を管理し、個別にKPIを設定することで、情報のサイロ化が起きることがあります。情報共有が不十分だと、例えば「売上」という内容について分析する際に情報の取得先が異なり、分析結果が変わってしまうなどの問題が起こりがちです。

経営ダッシュボードを導入し、全部署で同じダッシュボードを確認するようにルールを設定すると、上記のような情報共有の不足による問題は防げます。また、すべての部署の情報が一元化されることで、別部署の状況も把握できるため、部署間の協力体制の構築や問題解決も容易になります。

5.レポート作成時間を大幅に削減できる

表計算ソフトなどを使い、各部署の情報を収集・分析してレポートを作成するのは、非常に手間と時間がかかるものです。また、手動でデータを入力したり計算したりすると、ミスが発生する可能性があります。

経営ダッシュボードを使えば、自動化によりヒューマンエラーを防ぎ、ERP内の情報を基にリアルタイムでレポートを作成できます。これにより、レポート作成時間を削減し、空いた時間をコア業務に充てることで、生産性や利益率の向上が期待できます。

経営ダッシュボードの作成手順

経営ダッシュボードを導入する利点は把握できたものの、どのように作成したら良いのかわからない方もいるかと思います。

1.作成の目的を明確にする

まずは経営ダッシュボードを作成する目的を明確にしましょう。なぜなら、目的によって必要なデータや指標が異なるためです。目的が曖昧だと、必要な情報が抜け落ちたり、無意味なレポートになったりする可能性があります。経営ダッシュボードの導入自体を目的化せず、閲覧者や利用目的、意思決定に必要な要素を明確にしましょう。

2.表示させる重要な指標を検討する

目的が定まったら、次に経営ダッシュボードに表示させる内容を検討します。情報を詰め込みすぎると重要な項目が埋もれてしまうからです。情報の重要度は目的によって変わるため、達成に必要な情報を取捨選択してください。

3.視覚的に情報を理解できるデザイン・レイアウトで作成

表示する情報や指標が決まったら、デザインとレイアウトを設計します。重要な情報は上部に、補足情報は下部に配置するのが基本です。関連性が高い情報は、隣に配置するなど、見やすさを考慮して組み立てます。大人数が閲覧する可能性があるため、シンプルで見やすいデザインとカラーを意識しましょう。

また、経営ダッシュボードは情報を瞬時に把握できるように、グラフやチャートを活用した視覚的なデザインが重要です。内容に応じて、棒グラフ・折れ線グラフ・ゲージチャートなどを適切に使い分けましょう。

経営ダッシュボード作成のポイント

経営ダッシュボードを作成するにあたり、押さえておくべきポイントが3つあります。

常に最新情報に更新されるように設計

経営ダッシュボードは、常に最新情報に更新されていることが重要です。古い情報では信頼性が低下し、適切な経営判断ができなくなるためです。手動更新では手間がかかり、入力ミスのリスクも高まります。自動更新機能を備えた経営ダッシュボードを活用しましょう。

確認したい情報は網羅する

経営ダッシュボードで必要な情報が得られず、別のツールを使わねばならないのであれば、運用効率は低下します。必要な情報が網羅され、スムーズに把握できる設計が求められます。必要な情報を網羅するためには、閲覧者である経営層や従業員にヒアリングし、表示内容を決定することが重要です。各部署のツールと連携すれば、情報共有もスムーズです。

ただし、情報を詰め込み過ぎると、何を伝えたいのかがわからなくなります。経営ダッシュボードの目的に合う情報のみを抽出し、不要な情報は表示させないこともポイントです。

異常値のお知らせ機能を付ける

安定した経営のためには、課題やトラブルを早期発見・早期解決することが重要です。経営ダッシュボードに異常のお知らせ機能を設置し、問題にすばやく気づけるようにしておきましょう。「数値に大きな変動があった場合に強調して表示する」「事前に設定した数値を超えた場合にアラートが表示される」ように設定しておけば、異常を検知しやすくなります。

ダッシュボード作成ツールの選び方

先述の通り、経営ダッシュボードの作成は、BIツールや表計算ソフトで行うのが一般的です。どちらを利用するか悩んだら、BIツールを選ぶことをおすすめします。

表計算ソフトは、日常的に使用している方が多いため使いやすいのが魅力です。すでにパソコンに入っていれば、新たにツールを導入するコストはかかりません。ただし、表計算ソフトは大量データを処理するのには不向きで、動作が重くなりやすくなる点に課題があります。ファイル分割で対応しても、検索や管理が煩雑になってしまいます。また、データソースや形式が異なるデータを一元化するのが困難で、データの統合に膨大な手間と時間がかかるのもデメリットです。

一方、BIツールは大量データをスムーズに処理し、異なるデータ形式の一元化にも対応可能です。利便性を考えれば、BIツールの導入をおすすめします。ただし、BIツールにもさまざまな製品があり、どれを選ぶべきか迷うこともあるかと思います。以下では、ダッシュボード作成に使うBIツールを選ぶポイントを紹介します。

操作性

経営ダッシュボードは、閲覧したり編集したり、複数の従業員が利用することが想定されます。「クリックするだけでダッシュボードが作成できる」「ドラッグ&ドロップでレイアウトを決められる」といった使いやすい機能が搭載されていることを確認しましょう。

コスト

初期費用はもちろんランニングコストも確認しておかなければいけません。
ダッシュボード作成ツールにはクラウド型・デスクトップ型・オンプレミス型があるため、それぞれの特徴を比較して自社に合うものを選択しましょう。

【クラウド型】
クラウド型は、インストール不要で初期費用も安く、インターネット接続環境さえあれば使えるのがメリットです。ただし、カスタマイズ性がやや低く、毎月利用料でランニングコストが高くなる可能性があります。

【デスクトップ型】
特定のパソコンにインストールして使用するデスクトップ型は、オンプレミス型と比べると安価で、少人数でも使いやすく、オフラインで作業できるなどのメリットがあります。しかし、大人数での利用には適していません。

【オンプレミス型】
サーバーにインストールして使うオンプレミス型は、カスタマイズ性が高く、他のシステムと連携しやすいなどのメリットがあります。しかし、システムの構築から始めるので初期費用や保守運用の人件費が高い点がデメリットです。

サポート体制

ダッシュボード作成ツールを扱うにはシステム関連のスキルや知識が必要なため、導入・運用のサポートが受けられるかどうかも確認しておきましょう。特にITに強い人材が少ない場合は、サポート体制が充実したサービスを選べば安心です。

なお、海外製のダッシュボード作成ツールには、日本語でのサポートがない場合もあるため、日本語対応のサービスを選れば、トラブル時も安心です。

経営ダッシュボードを導入・利用する際に気を付けたいこと

経営ダッシュボードは、日々蓄積されていく情報を整理し有効活用するためのツールです。効率よく活用するために、導入・運用時には以下のポイントを押さえましょう。

KPI設定は慎重に

経営ダッシュボードには、目標達成に重要なKPIを表示する必要があります。複数のKPIがある場合は、特に影響が大きいものを、優先順位を付けて表示しましょう。

ユーザーの使いやすさも優先する

データを可視化して共有するために作成するのが、経営ダッシュボードです。頻繁に更新する必要があるため、誰でも簡単に扱える設計が重要です。作成者は使いやすいと仕上げても、現場で使う人が扱いにくいと感じてしまっては、利用価値が低くなってしまいます。完成後にアンケートを取ったりヒアリングしたりして、使いやすさを優先してください。

定期的に運用方法の見直しをする

経営ダッシュボードは作成後も定期的に運用方法を見直すことが重要です。企業の状況や必要な指標は変化するため、放置するとデータ不足や誤差が生じます。また、運用が煩雑化していないか確認し、必要に応じて改善しましょう。また、時間の経過とともに運用が煩雑になることもあるので、適切に運用されているか、定期的に見直すことも重要です。

経営ダッシュボードとERP連携の必要性

経営ダッシュボードはデータの可視化のために用いますが、データは別で収集しなければなりません。しかし、システムが部門ごとに独立していたりデータの管理方法が異なったり分断が起きている場合、データ収集に膨大な手間と時間がかかることがあります。そこで役立つのがERPです。ERPを導入すると、異なる部門のデータを一元管理できるようになります。そこにダッシュボード作成ツールを連携させれば、ERPで集めたデータを容易に可視化できます。

データ収集から分析、可視化までのプロセスをスムーズに進めるためには、経営ダッシュボードとERPの連携が欠かせません。まだERPを導入していない場合は、経営ダッシュボードと合わせてERPの導入も検討しましょう。

まとめ

経営ダッシュボードはリアルタイムで情報を可視化し、迅速な経営判断を行うのに役立ちます。最新情報に更新しておけば、経営に必要な情報を迅速に収集し、スピーディーな経営判断を行うことが可能となります。

目標達成に大きく関わるKPIを表示する、定期的に運用方法を見直すなどのポイントを押さえておきましょう。

また、経営ダッシュボードはデータを可視化するためのものであり、データ収集は別で行わなくてはなりません。必要なデータをスムーズに収集するためにも、ERPの導入・連携も検討してください。